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【読書感想】川上量生カドカワ社長『ルールを変える思考法』:コンテンツの本質

『ルールを変える思考法』(川上量生)を読んだ感想・レビューをまとめます

 

 

どんな本?

 

内容としては、ゲームの話だけでなく、コンテンツの役割、ネットの将来、ビジネスを成功させるための方法論など様々なテーマについて川上さんなりの考えをまとめたもの。


もともとは、「4Gamer.net」というインターネットのゲーム専門のニュースサイトで掲載された連載記事が本書の骨格になっている 。

また、初めにで次のように述べている。

 

この本は「ゲームを心から大好きな、いわゆる”ゲーマー”が、社会的に過小評価されているのではないか」という仮説を検証するという名目のために、僕のゲーマーとしての過去の輝かしい(と自分では思いたい)経歴と、経営者としてビジネスで考えていることを、抱き合わせ販売で読んでもらうというのがコンセプトになります。


現実社会の競争というゲームが潜在的に得意な人は
本能的にテレビゲームを含むゲーム一般にも惹きつけられることが多いと考えられる。

ゲームに勝つためには論理的な思考力が必要だから
その達人レベルにある人間はプログラマーなどに向いていたり、
ビジネスの素養があり経営者に向いているかもしれない。

ただし、この本で言うゲーマーはテレビゲームだけでなく
アナログゲームを含めたもっと広いゲームを好きな人ということ。
(川上氏はアナログゲームの愛好家である)

 

どういう構成?


以下の7章から構成される。
それぞれの章の中で気になったセンテンスを取り出してみた。

 

第1章 いちばんリアルなゲームは現実世界で見つかる

まずルールを確認検証しそこから最適解を探す。
ビジネスする場合にしてもゲームと同じように勝つためには、まずルールの検証から始めるのが良い。
変えた方がいいルールが意外に多いことがわかる。

 

第2章 ビジネスというゲームで大切なこと

「最終的にどうなるか」というイメージを初めに持つようにしてそこから逆算するようにそこまでのプロセスを考えていきます。自分の武器になるものは何なのかを考えてそれをはっきりと打ち出していかなければならない。

 

第3章 人を惹きつけるコンテンツの作り方

人の感情を動かすのは分かりそうで分からないもの。

 

第4章 マネジメントで大切なことはゲームが教えてくれた

プレイヤーのモチベーションと稼働率の管理は経営にも通じる。

 

第5章 ゲームが上手い人間は頭がいいのか

不親切なゲームで育ったゲーマーはやっぱり能力が高い。

 

第6章 ネットの発達は人間をこう変えていく

ネットの発達によって大きなシステムの中で人間が単なる部品のようになっていくのではないかというそんな気がある。

 

第7章 できるかもしれないという思うことから全ては始まる

経験ないことをするにはやりながら学んでいくしかない。

 

気になったポイント

テレビゲームの遊びとしての欠陥

川上氏は、現実世界で成功する上で、
テレビゲームの遊びとしての欠陥について、
次の3つを指摘している。

 

1. 人間がコンピューターの決めたルールに従ってゲームをプレイする

2. 反射的な思考能力の速さを競うゲームがほとんどである

3. コンピューター相手にゲームをやっても人間との付き合い方は学べない

 

 

1がなぜ問題か。
現実世界で行われている競争は、ルールを決めた人間が勝つ可能性高い。
しかし、テレビゲームでは自分が有利なルールを考えて実行するという能力を鍛えることが難しい。
なぜなら、テレビゲームではゲームのルールは、
常にゲームをやる時点で決定されているもので変更することはできないからである。

しかし、現実世界のルールとは変えられるものであり、
それも自分が有利なようにルールを変えることで競争が楽になる。

 

2番の問題点としては、長時間の思考能力が身につけられないことである。
多くのテレビゲームは、結局、反射神経を競う遊びになってしまっている。
敵や周りの反応に対して、どれだけ自分が速く動けるか?
「反射神経をどれだけ突き詰められるか」という遊びになってしまっているのではないかという。

 

3番の問題点は、ゲームは人間を相手にするべきではないかということ。
人間社会の競争は基本的に人間同士で行う。
つまり、目的を達成するために他の人間とどうコミュニケーションをとるかが現実社会では重要なテーマである 。

 

以上の点を考えると、
確かにテレビゲームだけやり続けても、
現実社会での成功にはあまり繋がらないのは納得できる。

 

と言いつつも、
現実社会での成功のためにゲームをやっているわけではない。(少なくとも自分は)
『遊びと人間』の中で考えられているように、
遊びは、自己の喜びと楽しみのために自発的に遊ぶのであって、
そこが満たされていれば自分は良いかなと思う。
遊びに意味を求めすぎるとよくない。

遊びと人間 (講談社学術文庫)

遊びと人間 (講談社学術文庫)

 

 

ルールの検証

 

この本のタイトルにもなっている通り、
ルールの検証はかなり重要だと思う。


なぜなら、ルールが決定された当時と現在の周りの環境を比較すると違う可能性があるから。


今の時代の状況に照らし合わせて、
本当にルールが妥当かどうかは検証されなければならない。

 

そのためには、
ルールがどのようにして作られたのか、
なぜそのルールにしたのか、
もしルールのこの部分が変わるとどうなるか
などを自分の頭で考えることが必要だと思う。

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ルールを検証した後で、変えた方がいいルールは変える。
その後に最適解を探す。

 

それについて
川上量生「ビジネスはネトゲよりも簡単だ」
という記事の中で次のように語っている。
https://toyokeizai.net/articles/-/242209?page=2

 

よくできたゲームに比べてビジネスは簡単ですよ。ルールが明確に固定されたゲームは、どんどんそのルールに最適化してくる人がいるので、なかなか勝てません。

それに比べるとビジネスは簡単。なぜならルールが明確ではないから。現実のルールって、実はみんなが勝手にできないと思い込んでいるだけのものが多いんです。いわゆる社会的なバイアスですね。固定観念として「これはできない」と思い込んでいることが多い。そこを打ち破っていけば、ビジネスで勝つのは簡単です。

 

コンテンツとは?

 

この本の中で一番面白いと思った考え方は、

「コンテンツとは、わかりそうで、わからないもの」

という考え方である。

 

 

「人間が理解できるかできないかのギリギリのところにあり、なおかつ微妙に説明がつかないようなところから、ヒット作が生まれる」という仮説も基本的には同じ考え方である。

 

そもそも、わからないものをわかろうとする機能は、生存に必要である。
人間の進化の過程を考えると、
たとえば、初めて見る植物や果物に興味を持って食べる・食べないによって、
人間の生存確率は大きく違ったのではないか。


自分にとって理解の限度を超えたもの、全く理解できないものに対しては、
関係ないと思い、関心をなくす。
また、自分にとって理解が十分できるものについても、
危険でないので、関心をなくす。

 

一方で、微妙なもの、つまり「わかりそうで、わからないもの」は
自分の中で気にかけておかなければならない。

そうなると、次に遭遇した時に、「以前に遭遇したものと同じだ」と判断し、
わからないものを徐々に理解していく。

 

「わかりそうで、わからないものに興味を持つ」という本能を進化の過程で獲得したことが、コンテンツに引かれる根源だという仮説だ。

 

この世に「普遍的な名作」は存在しない

この仮説に従うと、
この世に「普遍的な名作」は存在しない
という結論が導き出せる。

 

「わかりそうで、わからないこと」がコンテンツの本質だと仮定すると
分かり分かることと分からないことの境界線は、
人によって違う。
時代が変われば、分かるものと分からないもの基準が変化するのは当たり前である。

 

古い芸術作品が尊ばれているのはなぜか?
と考える人もいるかもしれないが、
それは、コンテンツそのものの価値が重視されているのではなく、
「歴史的な価値」や
皆が知っているということそのものに価値があると考える
「共通言語としての価値」
が評価されていると考えられる。

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独自性って? 

「わかりそうで、わからないもの」を作るためには、
みんながやっていることをやっていてはダメだ。
また、自分が理解できることでやってはダメかもしれない。
なぜなら自分が理解できるものは、誰にも理解できる可能性が高いからである。

 

では、どうすればよいか。


それは、自分でもわからないものであれば、それが独自性になる。


「それならば、めちゃくちゃなことがいいのか」と思うかもしれない。
しかし、そうではない。

理解できそうで理解できないギリギリの境界線上に答えがあるのだ。

きちんと説明できないが、正しいと自分が思うこと。
説明できないけど、素晴らしいものを作ること。
それが独自性につながり、創り上げたものをコンテンツとして成り立たせる。

 

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