ぺんぎん村での日々

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「論破力」ひろゆきの名言とクリティカル思考について考えたこと

 

はじめに

 

先日、西村博之ことひろゆき氏の新刊『論破力』を読みました。

 

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ひろゆき氏の議論の捉え方について
普通の人とは違った見方をしている部分も多く、
非常に面白く読ませてもらった。

 

さて、本書を読む中で、感じたのは
ひろゆき氏が議論の進め方の基本を徹底している点である。

 

議論の進め方については
『クリティカル進化論―「OL進化論」で学ぶ思考の技法』
が非常に分かりやすくためになる。

 

クリティカル進化(シンカー)論―「OL進化論」で学ぶ思考の技法

クリティカル進化(シンカー)論―「OL進化論」で学ぶ思考の技法

 

 
OL進化論」の日常生活を切り取った4コマ漫画を通して、
楽しくわかりやすく、クリティカル思考(ものごとをきちんと考えて判断すること)を身につけていける本である。

 

この本で重視しているのは、考える過程である。

何を理由にしてそう主張するのか。
それは理由になっているか。
根拠として挙げられている事実は正しいか。
結論そのものにどうこういうのでなく、どうしてそう言えるのかを徹底的に考える。

これが、この本で主張される、基本的な姿勢である。

 

ひろゆき氏がこういった議論の本を読んでいるかどうかは不明だが、
ひろゆき氏の議論における姿勢と
「クリティカル進化論」で語られるクリティカルに考える人の姿勢との間には、
かなりの共通点がある。

 

ここでは、ひろゆき氏の名言(議論の進め方や反論の仕方)とクリティカル思考を比較していく。

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今回示すクリティカル思考に近いひろゆき氏の名言は以下の5つである。

 

1.「それ、あなたの感想ですよね」

2.「なんかデータとかあるんですか?」

3.「なんだろう、ウソつくのやめてもらってもいいっすか」

4.「なんすか、『しゃぞう』って?」

5.「はいか、いいえで答えてください」

 

1、2、3は、
2015年6月22日に放送された「ビートたけしのTVタックル」での発言であり、

4、5、は、
2010年5月1日に放送された、勝間和代さんが司会を務めるBSジャパンの「デキビジ」での発言である。

 

それぞれの発言について、
どういう文脈で発言されたか、を踏まえてみていく。

 

 

1.「それ、あなたの感想ですよね」

 

この回のテーマは「ネットに規制は必要か?」。
規制必要派には松本文明自民党衆議院議員紀藤正樹弁護士、評論家の古谷経衡氏、一方、規制不要派には、ひろゆき氏と堀江貴文氏がついた。

 

「ネットが犯罪行為を増やしているのか」というテーマに対し、
ひろゆき氏と堀江氏は
「バカな奴は結局何やったってバカなことする」
「有効な対策にはならない」
と述べた。


これに反論した古谷氏に対する言葉が今回見ていくひろゆき氏の名言だ。

 

古谷:「昔からバカな奴がいて、それを可視化しただけだ」というのは間違いだと思いますよ。ネットの生放送や動画でユーザーを巻き込んで、快感を得ているので僕はどんどん増えていってると思います。

 

ひろ:それ、明らかじゃなくてあなたの感想ですよね。

 

古谷:もちろんそうなんですけど

 


クリティカル進化論にもあるが、
議論とは、理由つきの意見を述べることである。
その際に大前提となるのが、
事実と意見を区別することである。
ここで重要なのは、意見には
理由つきの意見と理由なしの意見があることだ。

 

理由なしの意見(考えたこと・思ったこと)であるのに、
それを事実(真実)のように扱ってしまう。
そうなると、本当のことが見えにくくなり、
議論が難しくなる。

 

ひろゆき氏は、
相手の発言が、事実なのか意見なのか、
そして意見であればどういう理由があるかを考えているからこそ、
「あなたの感想ですよね」と述べることで、
意味のない議論に進むことを防いでいる。

 

 

2.「なんかデータとかあるんですか?」

 

次は「いじめの本質と救済」について発言だ。

 

紀藤:ここでのネットいじめって、自分の裸がさらされるとかだから、堀江さんが誹謗中傷されるのとは質が違う。

 

ひろ:そもそも、質的に減るのかという議論ならば、インターネットがある前とインターネットができた後とでいじめの件数が変わっていないとおかしいわけですよね。
そういうデータはあるんですか?昔からいじめで死ぬ人はたくさんいたわけで。

 


先ほども述べたように、
議論とは、理由つきの意見を述べることである。
理由(事実としての根拠)が無ければ、議論するための意見になりえない。

 

『論破力』では、
ひろゆきが意識している話し方として、
「こういう事実があります」という事実ベースの話をしていることが多いと述べている。
事実を覆すことはかなり難しいため、反論されにくいのだ。
その意識があるため、どういう事実があってそう主張するのかを議論の際に常に考えており、すごいスピードでその質問ができるのだと考えられる。

 

 

3.「なんだろう、ウソつくのやめてもらってもいいっすか」

 

最後に、「ネット文化」について反論した際の発言だ。

 

古谷:いやいや、僕ね、YouTuberとか、踊ってみたとか、すごい問題だと思う。「ネット文化」っていっていたじゃないですか。既存のもののコピーでしょ?既存のものの評論をしたり。オリジナルティ何もないですよね?

 

ひろ:踊ってみたって、振り付けはユーザーが作っていますよ。

 

古谷:いやいや。

 

ひろ:曲を作るユーザーがいて、振り付けするユーザーがいて、踊る人がいる。

 

古谷:いや、ほとんど、あの、コピーですよ。

 

ひろ:いや、僕ニコニコ動画の管理人やっていたので、「違います」って言われても、僕の方が詳しいと思うんですよ。

 

古谷:いや、それだってコピーバンドじゃないけどコピー…

 

ひろ:なんだろう、ウソつくのやめてもらってもいいですか?

 


議論の際に、クリティカルに考えるためには、次の2点が重要である。

1.推論の仕方は妥当か?
2.根拠としての「事実」は正しいか?

 

ここでは、特に
2.根拠としての「事実」は正しいか?
が意識されている。

 

私たちが物事を見聞きするとき、
ほとんど無自覚で、知識や過去の経験に照らし合わせて解釈しながら、
見聞きしてしまっているのだ。
古谷氏は「ネット文化なんてダメだ」という自分の結論ありきで
一部の特定の事実だけからそのように主張しているように見える。

 

「ウソはウソと見抜ける人でないと(ネット掲示板を)使うのは難しい」


という名言を残したひろゆき氏ですが、
『論破力』の中で「ウソつきを見抜く質問術」を記している。

 

それは、「ディテールを突く」ということだ。


「具体的に何をしたのか」のような作業レベルのことまで細かく聞くのだ。
「ここ合わないんですけど、どういうことですか?」
「言っていることと、違いますよね?」
「どうやってそれをやったんですか?」
など「自分がそれをやるとしたら、こういうところで引っかかるだろうな」みたいなところを、どんどん聞いていく。

 

ネット文化に対する具体的な状況をしっかり述べずに議論しようとした古谷氏の姿勢に、ウソつきっぽさを感じ、「なんだろう、ウソつくのやめてもらってもいいですか?」と発言したのかもしれない。

 

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勝間和代 VS ひろゆき (ネットの匿名性について)

 

4.「なんすか、『しゃぞう』って?」

 

ひろゆき:インターネットの話ならインターネットの話をしてください。なんか今、リアルの話をしだしたのは勝間さんですよね?

 

勝間:違うんですよ! リアルの話に対してのインターネットが『写像』であることに−−

 

ひろゆき:『しゃぞう』?

 

勝間:………。

 

ひろゆき:なんですか? 『しゃぞう』って…

 

勝間:……だめだコレ

 

ひろゆき:あ…すいません、なんか。言葉を知らなくて…

 

勝間:……あの〜…多分ですね…

 

ひろゆき:なんかその…例えば『しゃぞう』って言葉の意味を僕は知らないんですけど、一般の人的にも多分そんなに常識的な言葉じゃないですよね? それを持ち出して『ダメだコレ』って言われても…

 

勝間:違います 違います

 

ひろゆき:僕はボキャブラリー少ないかもしれないですけど、それは呼んだ人に対して失礼じゃないですか?

 

勝間:違います。私が言いたいのはですね、ひろゆきさんと私の価値観とかポリシーの違いがあって。それに対して何か議論を二人で戦わせようとすると、お互いに自分のフィールドに逃げてしまって、たとえ話が始まるので−−

 


「○○ってどういう意味ですか?」


『論破力』では、ひろゆき流のキラーフレーズとして紹介されている質問である。
揚げ足取りのようなこの質問であるが、
初歩的な質問に対して、しっかりと答えられないのであれば、
その人の主張自体もそこまでしっかりとしたものでないと考えられるのだ。


そのため、ひろゆき氏は自分が分かっている用語でも、
「そもそもそれって何ですか?」とわざと質問する。
言葉というのは人によって解釈が違うため、その人なりの定義を確認することも重要であるからだ。


議論を進めるにあたって、事実や結論を語る言葉は正確に使わなければ、
うまく議論が進められない。

 

また、ひろゆき氏が言葉を知らなくて「そんなことも知らないの」と責められている状況をあえて作り出すことで、その議論を見ている視聴者の同情を集める「弱者」側に立つことに成功している。


責められている「かわいそうな人」を演じることで、味方が増えて、最終的に有利になる、という状況を作り出している。

 

 

5.「はいか、いいえで答えてください」

 

ひろゆき:いや僕は逃げてませんよ。じゃあさっきの、インターネット上の名前の話で

 

勝間:はい

 

ひろゆき:トレースできるかどうかは『名前』と『名無しさん』でもコストは一緒ですよね? はい/いいえで答えてください

 

勝間:………

 

ひろゆき:要はプロバイダーに対して『こういうことがありました』と報告し、住所を知りたいかどうかってコストは一緒ですよね? はいか、いいえで答えてください。

 

勝間:言います!トレースを必要とする場合には、はい。ただ、トレースを必要とするかどうかの判断がその前にあるますので、その分のコスト軽減されます。

 

ひろゆき:じゃあ、山田太郎って書いて誹謗中傷しているのと、名無しさんで書いてて誹謗中傷しているので、内容は一緒ですよね。

 

勝間:どちらもトレースを請求します。

 

ひろゆき:ああ、はい。じゃあ一緒じゃないですか。

 

「はい・いいえで答えてください」
これも『論破力』で、ひろゆき流のキラーフレーズとして紹介されている質問である。「はい・いいえで答えてください」という質問に対して、「はい・いいえ」以外で答えるのは、少し見苦しく感じてしまう。


この質問の意図としては、議論をかみ合わせるため前提条件を共有することであり、それは議論をする上で最初に確認すべきことである。

 

以上。

 

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おまけ:ひろゆき氏の似顔絵(鉛筆画)

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