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ぺんぎん村での日々

イラスト・写真・ゲームを中心とした日々

【おすすめ画集】ジブリの背景 男鹿和雄画集Ⅱ

アニメーションの背景美術は、いかにして描かれるのか―。

 

今回おすすめの画集として紹介するのは、

スタジオジブリの背景美術で有名な男鹿和雄(おがかずお)さんの画集

男鹿和雄画集Ⅱ』です。

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男鹿和雄画集II (ジブリTHE ARTシリーズ)

男鹿和雄画集II (ジブリTHE ARTシリーズ)

 

 自然の風景の美しさの表現を感じ、その技法も学べる一石二鳥の画集。

 

950ピース スタジオジブリ背景美術シリーズ ハウルのひみつの庭 950-204

 


男鹿和雄(おが かずお)とは

1952年2月29日秋田県生まれ。高校卒業後、デザイナー学校へ進学。1972年に、アニメーション背景美術の会社である小林プロダクションに入社。テレビシリーズ「樫の木モック」で初めて背景を手がける。以後、数多くのテレビシリーズ・劇場映画などに携わる。スタジオジブリ作品には、映画「となりのトトロ」の美術監督で初参加。以後、ほとんどの作品で美術監督・背景美術を手がけている。現在はフリーで、アニメーションの背景美術だけでなく、絵本、エッセイなど幅広いフィールドで活動している。

 

主な作品

1988年 となりのトトロ 美術
1989年 魔女の宅急便 背景
1991年 おもひでぽろぽろ 美術監督
1992年 紅の豚 美術
1994年 平成狸合戦ぽんぽこ 美術監督
1995年 耳をすませば 背景
1997年 もののけ姫 美術
2001年 千と千尋の神隠し 背景
2002年 猫の恩返し 背景
2004年 ハウルの動く城 背景
2006年 ゲド戦記 背景
2008年 崖の上のポニョ 背景
2013年 かぐや姫の物語 美術

 

スタジオジブリ作品に携わった経緯
1987年、新作の美術監督を探していた宮崎駿監督にスカウトされ『となりのトトロ』の美術を担当する。真夏の田舎の情景を表現したDパートの背景画はもはやアートの域に達しており、「緑(色)の使い方に天賦の才がある」と宮崎に評され、宮崎・高畑両監督の高い評価を得る。

ジグソーパズル となりのトトロ 草壁家 500-250


現在は八王子にある自宅のアトリエを拠点に活動し、数々のスタジオジブリ作品の背景美術の要として、両監督を支え続けている。また、挿画や絵本、エッセーなどアニメーション以外の仕事も手がけている。
ウィキペディアより

 


男鹿和雄画集Ⅱ』とは

男鹿和雄画集Ⅱ』とは、

画集であると同時に、アニメ―ション背景技術の「技法」を解説した本。

 


この本では、主に男鹿さんが美術監督を務めた「もののけ姫」と「平成狸合戦ぽんぽこ」の2つを取り上げている。

目次はこんな感じ。

 

本書について
はじめに 文・男鹿和雄

カバーイラスト制作に見る「技法」と「表現」

 

第一章「もののけ姫
エミシの里/シシ神の森/森の奥深く/緑の再生

もののけ姫」の技法
1:アニメーション背景美術の道具/2:混色について/3:水張りから地塗りまで/4:生きている筆使い/5:空間と面の意識/6:光源の捉え方/7:画面のバランスと密度/8:省略と誇張/9:取材で得られるもの/10:資料の活用法


第ニ章「平成狸合戦ぽんぽこ
里山の四季/狸たちの暮らし/開発された自然

平成狸合戦ぽんぽこ」の表現
1:観察とスケッチ/2:緊張感のある構図/3:光と影の描写/4:空気感の描写/5:レイアウトと構図/6:色彩と空間表現/7:風流さと遊び心


第三章 その他の作品
耳をすませば」/「千と千尋の神隠し」/「猫の恩返し」/「ハウルの動く城」/「コロの大さんぽ」


第四章 技法や表現以前のことについて
【対談】男鹿和雄×田中直哉
コラム1 アナログ時代の工夫、デジタル時代の技法
コラム2 背景美術の「筆」をめぐる、15年におよぶ試行錯誤
男鹿和雄Profile・Work List

 

 

1章では、『もののけ姫』、

もののけ姫 [DVD]


2章では、『平成狸合戦ぽんぽこ』、

平成狸合戦ぽんぽこ [DVD]


3章では、その他の作品がまとめられ、
4章では、モノクロのインタビューページという構成になっています。
全体141ページのうち、1〜2章が約110ページを占めています。

 

この画集の素晴らしい点は何か?

1. 絵のクオリティが高い

とにかく美しい。
真夏の田舎の情景を表現した背景画がアートの域に達しており、「緑(色)の使い方に天賦の才がある」と宮崎に評されたように、クオリティがかなり高いです。
掲載されている背景画などは73枚で、サイズが大きくて見やすい点もよいです。

 

もののけ姫』の背景では、日本の自然を描いています。
自然と文明の「相克」を描いた作品である『もののけ姫』。
主人公のアシタカが育った「エミシの里」、現実には存在しない巨大な樹が立ち並ぶ太古の森「シシ神の森」、再生することで荒々しい自然から穏やかになった自然。
見ていると吸い込まれそうになる圧倒的な自然の美しさを感じられます。

950ピース ジグソーパズル スタジオジブリ背景美術シリーズ もののけ姫 シシ神の森 (34x102cm)

一方、『平成狸合戦ぽんぽこ』の背景では、どこか懐かしさを感じさせる里山の四季を描いています。
東京郊外の多摩丘陵を舞台に、開発されてゆく自然の中で生きる狸たちの奮闘を描いた、高畑勲監督作品『平成狸合戦ぽんぽこ』。
人間たちと狸たちが共に暮らす里山の風景が描かれ、時間帯や季節による表現の変化も描かれています。里山に暮らす狸たちの背景には廃屋や神社など人間たちの作ったものがうまく溶け込んでいる様子も描かれています。しかし、物語の進展とともに、自然が開発されていくと、荒涼とした造成地に人工の建造物が立ち並ぶようになる様子も描かれます。多彩な色合いで表現された自然と異なり、均質的なものを感じさせる色合いで表現される人工の情景。その中にもやはり懐かしさを感じさせるものがあります。

 

 

2. 技法が詳しい

水張り」、「地塗り」、「筆使い」、「光源の捉え方」、「遠近感」、「省略と誇張」、「レイアウトと構図」、「色彩」など、実際に描いていく上での表現方法やテクニックが丁寧に解説されています。
この視点を基に、作品を再度眺めると、また最初とは違った感じ方や感覚を得られると思います。

なぜこれほど美しいのか。
それを理解する上でのヒントになると思います。

 

 

3. 背景美術に対する哲学を学べる

「何を使って描いたか」
「どのように描いたか」
「何を意識して描いたのか」
「何を狙って描いたのか」
など、背景美術に対する男鹿さんの考え方が語られています。

また、4章では、田中直哉氏との対談が8ページ分収録されています。
そのなかで、印象に残るのは、
「現状から一歩踏み出す覚悟」と「遊び心を忘れずにいること」。
毎回何か新しい発見ができるように目の前のことに取り組んでいくこと。
その積み重ねを楽しむこと。
絵だけでなく何事においても言えることかもしれませんね。

300ピース スタジオジブリ背景美術シリーズ  トトロの祠 300-254

 

 

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